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採用CX(Candidate Experience)とは?注目される理由や設計手順を解説

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採用CX(Candidate Experience)とは?注目される理由や設計手順を解説

こんにちは。採用管理システムsonar ATSを提供するsonar ATS編集部です。この記事は、「採用CXが注目される理由が気になる」「採用CXの設計手順を教えてほしい」とお考えの採用ご担当者様おすすめの内容です。

採用CX(Candidate Experience、候補者体験)とは、候補者にポジティブな印象を与えるために、企業が魅力的な選考体験を設計・提供する取り組みを指します。売り手市場化が加速する採用市場では、候補者への魅力付けに直結する採用CXが注目を集めています。

本記事では、「採用CX」が注目される理由や設計手順、メリットについて詳しく解説します。

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目次

採用CX(Candidate Experience)とは?

採用CXの意味を分かりやすくまとめた図

採用CXとは、採用活動全体を通じて候補者に好印象を与えるために、企業が魅力的な選考体験を設計・提供する取り組みを指します。「CX」は「Candidate Experience(候補者体験)」の頭文字をとった略称で、「顧客体験(Customer Experience)」を重視する流れが採用領域に応用されたものです。

採用CXでは、常に候補者視点に立つことが求められます。近年は、求職者に好印象を与えることが企業ブランドの向上や優秀な人材の獲得につながると考えられており、日本でも注目を集めているキーワードです。

採用CX(Candidate Experience)が注目される理由

続いて、採用CX(Candidate Experience)が注目される理由について詳しく見ていきましょう。ここでは、採用市場の変化として代表される以下5つの理由を紹介します。

  1. 人材獲得競争の激化
  2. 転職市場の変化
  3. 採用のデジタル化
  4. 採用ミスマッチの発生
  5. 採用情報の透明化

1. 人材獲得競争の激化

近年、少子高齢化に伴う生産年齢人口(15~64歳)の減少により、人材の確保をめぐる競争が一層激しくなっています。実際、2023年には7,395万人だった生産年齢人口が、2050年には5,540万人、2070年には4,535万人にまで減少すると予想されています(参考:内閣府)。

生産年齢人口の推移を表したグラフ

令和6年版 高齢社会白書(全文)(PDF版)|内閣府ホームページをもとにThinkings株式会社が作成

また、2024年の平均有効求人倍率は1.25であり、2023年平均よりは0.06ポイント低下したものの引き続き売り手市場が続いています。

人材獲得競争が激しい状況下では、給与や福利厚生のみでは差別化が難しく、採用プロセスそのものが候補者に与える印象が成功を左右します。

候補者にポジティブな印象を与えるためには、求人情報や面接だけでなく、説明会や内定後フォローなど、あらゆる接点で候補者目線の工夫を行わなければなりません。採用が難しい時代に自社の魅力を伝える手法として「採用CX」が注目を集めているのです。

※参考:一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)|厚生労働省

2. 終身雇用の崩壊と人材の流動化

日本ではかつて終身雇用が一般的とされてきましたが、近年は働き方やキャリア観の多様化に伴い、転職市場が急速に拡大しています。給与や待遇以外にも、企業文化やキャリア形成の機会などを重視する人が増え、転職が「当たり前」と認識されるようになりました。

こうした状況下で、多くの選択肢の中から候補者に自社を選んでもらうためには、自社の魅力を的確かつ魅力的に伝える必要があります。その魅力を最大限に伝え、納得感を高める手段として、採用CXがこれまで以上に重視されるようになっています。

3. 採用のデジタル化

オンライン面接やAIを活用した選考などの普及により、企業がこれまで以上に多くの候補者と接点を持てるようになりました。デジタル化が進んだ反面、選考の質や対応スピードが企業イメージを大きく左右するため、採用体験(CX)の強化が欠かせません。

企業がオンラインでのやり取りを丁寧に行わなければ、候補者に不信感やストレスを与えてしまいます。優秀な人材を逃さないためにも、迅速かつスムーズなコミュニケーションの実現が不可欠です。

4. 採用ミスマッチの発生

企業と候補者の相互理解が不足していると、入社後の早期離職や内定辞退につながる可能性があります。こうした採用時のミスマッチは、依然として多くの企業が抱える課題です。ミスマッチを防ぐには、採用CXを意識した相互理解を深める取り組みが欠かせません

採用CXでは「候補者視点」で選考プロセスを設計するため、候補者が求める情報を適切に提供できます。さらに、相互理解を促進する機会を複数設けることで、ミスマッチを防ぐと同時に入社後の活躍にもつながります。

関連記事:STAR面接で採用のミスマッチを防ぐ!具体的な手法やメリット・デメリットを解説

5. 採用情報のオープン化

SNSや口コミサイトの普及により、選考プロセスや企業の対応が瞬時に共有される時代になりました。ポジティブな評判だけでなく、ネガティブな情報もあっという間に拡散されてしまいます。

このような環境では、候補者が得る情報と実際の企業の姿が一致しているか、面接や内定者フォローなどのコミュニケーションが丁寧に行われているかが、企業イメージを左右する重要な要素となります。採用CXを強化し、候補者が納得感を得られる採用フローを提供することで、結果的に企業ブランドの向上や信頼の獲得につながります。

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採用CX(Candidate Experience)を重視するメリット

では、採用CX(Candidate Experience、候補者体験)を重視することで企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、企業イメージの向上やリファラル採用の促進など、5つのメリットについて解説します。

口コミによる企業イメージの向上

候補者が高品質なCX(Candidate Experience、候補者体験)を得られると、企業の良い評判が自然と広がります。

例えば、ある候補者が「面接官からのフィードバックが役立った」と感じたとします。候補者は、それをSNSや口コミサイトで拡散するかもしれませんし、知人との会話の中で伝えるかもしれません。様々なチャネルを通じて体験談が広まることで、企業イメージは着実にアップします。

また、現場社員による親身なフォローや面接時の柔軟なスケジュール調整など、小さな配慮の積み重ねが評判を高めるきっかけとなるケースも少なくありません。企業イメージが向上すると、優秀な人材の応募が増加し、採用活動全体の効率化にもつながります。

リファラル採用の促進

リファラル採用とは、社員の紹介により企業が新たな人材を採用する手法です。採用CXが強化されている企業では、社員や元社員が企業を知人に紹介する傾向が強まります

例えば、自身の採用活動中に満足度の高い選考体験(フィードバックや充実したサポート体制など)をした候補者は、知人に自身の体験談を伝え、応募を進めるかもしれません。

こうしたリファラル採用が活発化すると、企業は外部の求人媒体やエージェントに頼らずに優秀な人材を確保できます。その結果、採用コストの削減や質の高い組織づくりにも大きく貢献します。

関連記事:リファラル採用とは?メリット・デメリットや成果を上げる方法を解説

ミスマッチの防止

採用CXは、候補者目線で採用フローを設計することで向上します。採用CXを重視する企業では、候補者が欲する情報(企業のビジョンや仕事の実態、チームの雰囲気など)を選考の早い段階から提示し、入社後のギャップを最小限に抑えられるよう工夫しています。

また、候補者との対話を重視した採用活動を行うと、企業側も応募者の適性や価値観を細かく把握できます。このように、候補者視点を重視した採用フローを設計することで、ミスマッチを防止することにつながります。

関連記事:【企業向け】採用選考フローとは?設計方法や新卒・中途別のポイントを解説

定着率の向上

採用段階で候補者にポジティブな体験を提供すると、結果として定着率の向上が期待できます。

たとえば、面接で親身なフィードバックをもらったり、経営陣と具体的なキャリアプランについて話し合うことができた候補者は、採用後に企業への愛着を持つでしょう。

こうした取り組みが徹底されている企業文化は、他の従業員にとっても働きやすい環境を実現しやすく、定着率の向上につながります。

採用コストの削減

採用CXを高めると、採用活動にかかるコストを長期的に削減できます。

選考内容や評価に満足した候補者は、内定辞退のリスクを抑えることができます。そのため、辞退が生じた場合に必要となる費用や選考工数を抑えることが可能です。

ミスマッチが減少することで早期離職に伴う再採用コストや教育コストも軽減され、結果的に人事予算全体の圧縮も期待できます。また、口コミやリファラルによって優秀な候補者が集まることで、求人広告やエージェントの利用費用を削減できる可能性もあります。

採用CX(Candidate Experience)のフェーズ

採用CXのフェーズを図式化した画像

続いて、採用CX(Candidate Experience、候補者体験)の一連の流れを見ていきましょう。候補者が応募から選考、内定承諾に至るまでのプロセスを理解することで、どのフェーズで強化すべきポイントがあるのか、重要なタッチポイントはどこかが明らかになります。

フェーズ1: 情報収集と企業認知

最初の「情報収集と企業認知」フェーズは、候補者が企業情報を収集する段階です。候補者は、企業の公式サイト、採用ページ、SNS、口コミサイトなどから企業のビジョンや社風、仕事内容を確認します。

この段階での企業に対する印象が応募意欲に直結するため、企業は自社の魅力を漏れなく候補者に届けなければなりません。具体的には、社員のインタビュー記事や働き方に関する動画、Q&Aなど、候補者が知りたい情報を多角的に提供すると良いでしょう。

フェーズ2: 応募(エントリー)

情報収集の結果、候補者は興味を持った企業に応募(エントリー)します。このフェーズでは、候補者がスムーズにエントリーできる環境を整えましょう

応募フォームが複雑すぎたり、必要以上の情報を求めたりすると、候補者が途中で離脱してしまうリスクがあります。ストレスなく入力できるフォームの導入など、候補者の利便性を高める工夫を行いましょう。

また、応募時に採用フローの全体像を記載することで、応募に伴う候補者の心理的ハードルを下げることができます。

フェーズ3:選考(書類選考・面接など)

選考フェーズは、候補者が企業の選考を通じて適性や企業との相性を確認する段階です。書類選考や面接など、各プロセスでの対応が候補者の印象を大きく左右します。

企業は、スピーディーな連絡やフィードバックの仕組みを整備するなど、候補者が安心して選考を受けることができる環境を整える必要があります。

選考フェーズは企業側にとっても候補者を見極める重要な段階です。しかし、見極めだからといって一方的に質問攻めをするのではなく、面接では双方向のコミュニケーションを意識しなければなりません。候補者の意見や疑問にも耳を傾け、対話を重ねることで、候補者体験(CX)を向上させることができます。

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フェーズ4: 内定

内定フェーズは、候補者が最終的な意思決定を行う段階です。この時期には、候補者が他社との比較や将来のキャリアプランを慎重に検討しています。

企業は、内定理由の説明だけでなく、入社後の具体的な成長機会を伝えることで、候補者の不安を払拭することを心がけましょう。内定辞退を防止するために、内定後の面談や、内定者向けの交流イベントを実施することも不可欠です。

候補者目線で必要な情報を提供したり、イベントを企画したりすることで、候補者の決断を後押しすることができます

フェーズ5:入社/オンボーディング

入社・オンボーディングフェーズは、候補者が社員としてスムーズに業務を開始するための準備段階です。このフェーズでの企業の対応は、定着率や入社後の生産性に大きな影響を与えます

企業は、入社前後のギャップを埋めるために、入社前のオリエンテーション、業務マニュアルの提供、メンター制度の導入などを行うと良いでしょう。また、1on1面談を定期的に実施することで、候補者に安心感を与え、本来の力を発揮するための環境を整えることができます。

採用CX(Candidate Experience)の設計手順

採用CXの設計手順をまとめた画像

続いて、採用CX(Candidate Experience、候補者体験)の設計方法について解説します。採用CXを設計する際は、闇雲に考え始めても良い結果は得られません。これから紹介する手順に沿って、段階的に設計を進めるようにしましょう。

1. 現状の採用フローを洗い出す

まずは、現状の採用フローの把握から始めましょう。情報収集から応募、選考、内定、入社に至るまでの一連のフローを可視化し、どのフェーズでどのようなコミュニケーションが行われているかを把握します。

そのうえで、現状の採用フローの中で、候補者がストレスを感じやすいポイントや、情報不足による不安が生じる部分を特定します。

社内だけでの分析にとどまらず、候補者アンケートや離脱者の意見も参考にし、採用フローの課題を客観的に洗い出しましょう。そうすることで、改善すべきポイントが明確になります。

2. 採用ペルソナが欲している情報を整理する

続いて、採用ペルソナが、いつ、どのような情報を求めているのかを整理しましょう。採用ペルソナとは、理想の候補者像の特徴を1人の人物に落とし込んだモデルのことを指します。

求める候補者像によって、スキルや経験、価値観、キャリア志向、企業選びの軸は大きく異なります。例えば、採用ペルソナがキャリアアップを重視する志向を持っている場合、成長機会や評価制度に関する情報を早い段階で求めるでしょう。

一方で、ワークライフバランスを重視する人材がターゲットの場合は、柔軟な働き方や福利厚生について丁寧に伝えることが欠かせません。

採用ペルソナが「知りたい」と感じる情報を整理することで、優先的に発信すべき内容が明確になります。候補者視点で「どの情報が応募意欲を高めるか」を意識しながら情報設計を行いましょう。

関連記事:採用ペルソナとは?作り方や具体例を分かりやすく解説!(テンプレートあり)

3. 各フェーズでの接点を洗い出す

選考フェーズごとに候補者との接点をまとめた図

候補者と企業の接点は、採用フローの各フェーズに点在しています。「情報収集・企業認知」フェーズだけでも、求人広告や採用イベント、SNS、口コミサイト、採用ホームページ等が挙げられます。

採用CXを最適化するには、これらの接点を洗い出し、それぞれの場面で候補者にどのような体験が提供されているのかを整理する必要があります。

SNSや口コミサイトでの評判も候補者の印象に大きな影響を与えます。説明会や面接といった直接的な接点だけでなく、SNSなどの間接的な接点も見落としてはいけません。候補者は、他者の体験談も参考に企業の実態を判断するため、オンライン上での企業イメージの管理も重要です。

4. ペルソナに合わせた施策を立案・実行する

現状のフローやペルソナが求める情報、接点が明確になったら、次はペルソナに合わせた施策の立案と実行に移ります。この段階では、ペルソナごとの関心や行動パターンに応じて、最適な接触方法やコンテンツを選定することが重要です。

たとえば、スキル向上を重視するエンジニアには、技術ブログやエンジニア座談会などの情報発信が有効です。一方で、働きやすさや風通しの良さを重視する候補者には、社員インタビューやオフィスツアー動画の配信が効果的でしょう。

重要なのは、企業側の都合や「見せたいもの」を優先するのではなく、あくまで候補者目線に立ち、彼らが必要とする情報やコンテンツを的確に選別することです。このように、候補者の関心に寄り添った施策を講じることで、応募意欲の向上やミスマッチの防止につながります。

5. 定期的に見直す

採用CXの設計は、一度完成させたら終わりではありません。採用市場の変化、ターゲット層の志向、競合他社の動向など、外部環境は常に変化しています。そのため、定期的に見直しを行い、必要に応じて改善する必要があります。

たとえば、候補者アンケートを実施し、現在の採用プロセスにどのような課題があるのかを定期的に分析すると良いでしょう。内定辞退率や入社後の定着率、エントリー数などのデータを活用し、定量的な評価も行います。

見直しを行う際は、単に問題点を改善するだけでなく、「候補者が欲する体験を提供できているか」という視点を持ちながら、最適な状態を目指すことが大切です。

採用CX(Candidate Experience)を向上させる施策の例

続いて、採用CX(Candidate Experience)を向上させるための具体的な施策をご紹介します。すぐに取り入れられる内容も含まれていますので、自社の選考フローを改善する際にぜひご参考にしてください。

応募(エントリー)のハードルを下げる

「応募(エントリー)のハードル」を下げるとは、具体的には候補者が気軽に応募できる環境を整えることです。

たとえば、採用ホームページにおける応募までの導線を見直したり、フォームの項目数を減らすことが挙げられます。さらに、候補者が求める情報(職場環境や業務内容など)を早い段階で開示し、応募をためらう障壁を取り除くことも有効です。

こうした工夫により、候補者の物理的・心理的負担を軽減し、応募数の増加が期待できます

リクルーター制度を導入する

リクルーター制度とは、現場社員がリクルーターとして候補者対応を行う仕組みです。リクルーター制度を取り入れることで、候補者の不安をいち早く察知できたり、企業の魅力をよりリアルに伝えることができます

同じ部署で働く先輩社員がリクルーターとして定期的に連絡を取ると、採用担当者よりも具体的に業務内容や職場の雰囲気を説明できます。また、リクルーター自身も人材育成や組織への理解が深まるため、企業全体にとってポジティブな効果が期待できます。

関連記事:リクルーターに選ばれる人の4つの特徴と導入メリット・デメリット

「入社後の1日」を体験できるイベントを開催する

職場見学や業務体験を通して、候補者が入社後の1日をイメージしやすくなるイベントを開催するのも良いでしょう。

たとえば、実際のオフィスや工場を見学したり、プロジェクトの一部を疑似体験してもらったりする内容が考えられます。リアルな働き方に触れることで、候補者は業務内容や人間関係について実態をもって理解できるようになります。ミスマッチの防止だけでなく、入社へのモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。

経営陣が個別にメッセージを送る

選考プロセスの中で、社長や役員が直接候補者へメッセージを送ることも有効な施策のひとつです。「魅力付け」と呼ばれる最終面接や内定を出すタイミングで行うと良いでしょう。

インパクトを与えたい場合は、選考の初期段階で経営陣が登場し、会社のビジョンなどを伝えることもおすすめです。

経営陣からの個別メッセージは特別感があり、候補者にとって「大切に扱われている」という印象を強めます。結果的に、企業への信頼感や愛着が増すでしょう。

食事付き座談会を実施する

候補者と社員、あるいは先輩内定者などがカジュアルに交流できるよう、ランチや夕食の場を用意して座談会を開くのも有効です。

たとえば、社食や会議室で軽食を提供しながら、業務内容や職場環境についてざっくばらんに話をする時間を設けます。食事を囲むことでリラックスした雰囲気が生まれ、候補者も率直な疑問や意見を伝えやすくなります。また、企業側も候補者の人柄や考え方をより深く把握できるため、ミスマッチの防止にもつながるでしょう。

最終面接前に個別面談を実施する

これは筆者が新卒採用時に経験したエピソードですが、最終面接当日に「面談」と称してランチ会を実施してくれた企業がありました。その会には採用担当者と若手社員が同席し、「○○さんなら大丈夫。自信をもってください」といった温かい言葉をかけていただきました。

また、最終面接を担当する社長の人柄についても詳しく教えてくださり、おかげで緊張がかなり和らいだことを覚えています。

このような丁寧なサポートをしてくれたのはその企業だけでしたし、企業全体への安心感や信頼感につながりました。

採用CX(Candidate Experience)についてよくある質問

最後に、採用CX(Candidate Experience)についてよくある質問を3つ紹介します。同じような悩みをお持ちのご担当者様は、ぜひ回答内容をご参考にしてください。

Q. 採用CXの改善はどこから始めればいいですか?

まずは候補者目線で現在の採用プロセスを見直し、どの段階で不満やストレスが生じやすいかを把握するところから始めましょう。これにより、具体的な改善ポイントを洗い出せます。

たとえば、応募フォームの項目が多すぎないか、面接日程の調整が負担になっていないかなどをチェックします。その後は優先度の高い課題から対策を実施し、実施前と成果を比較しながら継続的に改善を進めましょう。

エントリー手続きの簡略化や面接後のフィードバックの実施など、取り組みやすい施策から手をつけると成果が見えやすく、社内の協力も得やすくなります。

Q. 採用CXを評価・測定する指標や方法はありますか?

候補者満足度を測るアンケートや内定辞退率、早期離職率などの定量データを組み合わせて評価する方法が有効です。

たとえば、選考終了後に匿名アンケートを実施して面接内容やスケジュール調整のしやすさを確認すると良いでしょう。また、内定辞退率や入社後の定着率を定期的に追うことで、採用CXの現状を間接的に測ることもできます。

SNSや口コミサイトなどの評価や、面接時の応募者の反応といった定性的な情報もあわせて分析すると、より総合的に採用CXを測定できるでしょう。

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Q. オンライン面接やAI選考が増える中、候補者との対話はどのように大切にすればいいですか?

オンライン化やAIの導入が進むほど、意図的に“人間的なコミュニケーション”を補う工夫が求められます

たとえば、オンライン面接ではアイスブレイクの時間を長めに設けたり、最終面接は対面で実施したりすると良いでしょう。また、オンライン説明会ではチャットで質問を受け付ける時間を設け、候補者との相互コミュニケーションを深める施策も効果的です。

AI選考を導入している場合でも、採用担当者が直接不安や疑問を解消する時間を設けることで、機械的なやり取りを補完することができます。

こうした取り組みにより、候補者に「丁寧に向き合ってくれている」という安心感を与えることができます。

採用CXを向上させ、採用を成功させよう

採用CXを向上させることは、売り手市場において企業が優れた人材を採用するために欠かせません。候補者の選考体験は、応募意欲や企業への印象に直接影響します。候補者目線で採用プロセス全体を見直し、細かな配慮や適切な情報提供を行うことが、候補者にポジティブな印象を与えることにつながります。

本記事の内容が、採用CXの向上にお悩みの採用ご担当者様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

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この記事の著者
sonar ATS編集部
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2,300社以上にご導入された採用管理システム sonar ATSを展開。このお役立ち記事では、採用セミナーレポートやお役立ちコンテンツをはじめ、企業の採用担当者の皆さまに採用に役立つ有益な情報をお届けしています。

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