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こんにちは。採用管理システムsonar ATSを提供するsonar ATS編集部です。この記事は、「リファラル採用を始めたいけど、進め方がわからない」「リファラル採用の報酬目安を知りたい」とお考えの採用ご担当者様におすすめの内容です。
リファラル採用とは、企業が社員や信頼できる人脈からの紹介を通して新たな人材を採用する手法です。本記事では、リファラル採用のメリットや注意点に加え、報酬目安やリファラル採用の進め方について解説します。


リファラル採用とは、「委託」「紹介」という意味を持つ「referral」に由来する単語です。具体的には、企業が信頼できる人脈を活用して新たな人材を採用する手法を意味します。
紹介を促進するため、紹介者にはインセンティブや報酬が支払われる場合がほとんどです。
社員や取引先に知人を紹介してもらうことで、企業文化や業務に適した人材を効率的に採用でき、採用コストも抑えられるのが特徴です。中途採用での活用が一般的と思われることが多いですが、新卒採用でも活用できます。
アメリカ合衆国ではリファラル採用が広く普及しており、2023年に発表された研究では新規採用の30〜50%がリファラル(紹介)に基づいていることが明らかになりました。日本においても近年リファラル採用の重要性が増しており、大手企業、ベンチャー企業ともに導入が増えつつあります。
参考:11 Employee Referral Statistics for 2023: Facts & Key Takeaways|Atto
リファラル採用が注目される背景として、労働人口の減少が挙げられます。労働人口の減少により求人倍率が高まり、従来の採用手法だけでは優秀な人材を十分に確保するのは難易度が高いのが現状です。近年は中途採用でも採用難が続いているため、求人広告やエージェント費用の高騰も無視できません。
こうした状況において、社員とのつながりを活用するリファラル採用は、短期間かつコストを抑えて信頼度の高い人材を確保できる手法として注目を集めています。
リファラル採用は、社員が自社のカルチャーや業務内容を理解したうえで候補者を紹介するため、ミスマッチのリスクが抑えられる点も大きな魅力です。さらに、採用活動を自社のファンづくりやブランディングにつなげることができる可能性があるなど、多面的な効果が期待されています。
リファラル採用と縁故採用は、いずれも他者からの紹介を基にした採用手法ですが、その性質には大きな違いがあります。
縁故採用(またはコネ採用)は、経営者や上層部との特別な関係を基に行われることが多く、一般的な選考を経ずに採用されるケースが多いのが特徴です。そのため、採用条件が不透明であると感じられる場合もあります。
一方、リファラル採用は社員からの推薦をもとに行われますが、通常の採用プロセスに従って選考が進められます。紹介を受けて選考に進むという点は共通していますが、リファラル採用は透明性が確保されやすいという違いがあります。

では、リファラル採用にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、リファラル採用を実施するメリットを3つ紹介します。
リファラル採用では、紹介者である社員が自社のカルチャーや業務内容を理解しているため、自社と相性の良い候補者が選考に進む確率が高まります。
たとえば、自社が求める要件(例:「チームワークを重視する人」「技術力よりコミュニケーション能力が重要」など)を理解している社員であれば、適性の高い知人を的確に紹介しやすくなるでしょう。
また、企業側は事前情報に基づいて候補者を評価できます。候補者側も、「実際の職場イメージ」を把握したうえで応募できるため、入社後のギャップを最小限に抑えることが可能です。結果的に、早期退職のリスク低減や生産性の高い人材確保につながります。

採用費用を抑えられる点も、リファラル採用の大きな利点です。通常の採用活動では、求人広告の掲載料や人材紹介会社への委託費が必要ですが、リファラル採用ではこれらの費用がかかりません。リファラル採用においては、社員にインセンティブを提供する費用が発生するものの、その相場は10万〜30万円程度で、一般的な採用費用よりも低く抑えられることが多いです。
実際、アメリカ合衆国の企業が行ったある調査によると、リファラル採用は他の採用手法に比べてコストが平均1,000ドル(約15万円)低くなることが確認されています。
参考:25 Incredible Employee Referral Statistics [2023]: Facts About Employee Referrals In The U.S.|ZIPPA
リファラル採用では、いわゆる「今すぐ転職を考えていないが、良い機会があれば検討したい」という潜在層にもアプローチできます。
通常の求人広告やエージェントは、積極的に転職活動をしている候補者が主なターゲットです。しかし、リファラル採用では、企業のカルチャーや業務内容をよく理解した社員が、日頃から信頼関係のある知人や友人に声をかけるため、自社の魅力を自然に伝えやすいという特徴があります。
また、紹介者が候補者の仕事ぶりや適性を把握しているケースが多いので、企業側も具体的な情報を得やすく、スムーズに選考を進めることができます。

リファラル採用は数多くのメリットを持つ一方で、いくつかの注意点もあります。リファラル採用を導入する場合は、これらの注意点を十分に理解し対策を講じる必要があります。
リファラル採用では、社員が自分に近い価値観や経歴を持つ知人を推薦しがちなため、多様性が損なわれるリスクがあります。
多様性の欠如は企業の創造性やイノベーションに悪影響を与えます。対策としては、社員に「多様性がなぜ重要か」を伝えるだけでなく、「自分と似た人を高く評価してしまう」という類似性バイアスについても周知することが挙げられます。
さらに、推薦基準に多様性に関する項目を設けることで、意図せず偏った採用が行われる事態を防ぎ、バランスの取れた組織づくりが実現できます。
推薦された候補者が不採用となったり、早期退職したりする場合もあるでしょう。この場合、推薦者が責任や不満を感じることで、推薦者との関係が悪化する可能性があります。
この問題を防ぐために、まずは推薦者が必要以上に責任を感じないような仕組み作りが重要です。具体的には、リファラル採用の選考基準やプロセスを明確にし、「採用決定は企業が行う」ことを明示しましょう。そうすることで、推薦者の心理的負担が軽減されます。
また、候補者が早期退職した場合には、その理由を推薦者に伝えることをおすすめします。フィードバックを行うことで推薦者は納得しやすくなるだけでなく、次回以降の推薦にも役立てることができます。
このように、推薦者との信頼関係を保てる仕組みを整えることで、リファラル採用を円滑に進めることができます。
リファラル採用を成功させるには、社内の認知度と理解が不可欠です。リファラル採用の制度そのものを知らなかったり、利用方法があいまいだったりする社員が多いと、紹介を活性化することはできません。
そのため、求人要件やインセンティブ制度などの詳細を丁寧に告知し、社員が積極的に参加できる環境を整備する必要があります。
こうした告知には企業側の手間がかかるため、リファラル採用のデメリットとしてとなり得ます。また、周知の方法やタイミングを誤ると、社員が協力しづらくなり、リファラル採用そのものの効果が発揮できなくなる点にも注意が必要です。
リファラル採用は採用コストを抑えることができると言われていますが、具体的にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、費用の内訳や目安、費用の総額を紹介します。
一般的に、リファラル採用では報酬や活動費、外部サービスの利用費が必要だと言われています。それぞれの詳しい内容は以下の通りです。
| 紹介者への報酬 | ・採用が決定した際に紹介者へ支払うインセンティブ。 ・金額は企業や採用職種によって異なる。 |
| 活動費(交通費や食事代など) | ・紹介者が候補者と会う際の交通費や会食費など。 ・交通費は実費で、会食費は5000円程度が一般的。 ・不要な会食を防ぐため、会食の証跡(誰と、いつ、どこで会食したか)を記録する仕組みが必要。 |
| 外部サービスの利用費(利用する場合のみ) | ・リファラル採用を効率的に進めるためのサービスの利用費。 ・外部サービスを活用することで、関係者間の情報共有の手間が削減されたり、進捗状況を可視化できたりする効果がある。 |
リファラル採用にかかる費用のほとんどを占めるのが報酬です。一般的に、報酬の相場は10万円から30万円と言われていますが、企業によっては報酬がない場合や、30万円を超えるケースもあります。
報酬額は、採用するポジションの重要度や採用難易度によって変動します。ITエンジニアのような専門性の高い職種や、経験豊富な人材、管理職クラスの採用では、報酬も高くなる傾向があります。
具体的なリファラル採用の報酬例は以下の通りです。ただし、これらの例はあくまで目安であり、自社の規模、業界、予算、そして採用したい人材の緊急性によっても変動します。自社の状況と市場の相場を考慮し、最適な報酬額を設定するようにしましょう。
| 対象層 | 想定報酬額 | 該当例・補足情報 |
|---|---|---|
| 一般職・若手層 | 10万円〜20万円程度 | ・専門性がそれほど高くなく、比較的採用しやすい一般職の場合 ・営業事務やカスタマーサポート、新卒採用枠など |
| 中堅層・専門職 | 20万円〜30万円程度 | ・業界経験が数年あり、特定のスキルを持つ中堅層 ・一般的な専門職(例:Webデザイナー、マーケター、人事、経理など) ・企業にとって即戦力となるため、投資としての価値も高まる |
| 管理職・幹部候補 | 30万円以上 | ・部門長や事業責任者、CxO候補などの管理職・幹部候補 ・企業の経営に直結する重要なポジションであり、採用難易度も非常に高い ・最高水準の報酬が設定されることが多い |
また、金銭的な報酬の代わりに有給休暇や福利厚生の追加を報酬として設定することも可能です。紹介報酬の目的は社員の紹介意欲を高めることであるため、企業の状況に合わせて最適なインセンティブを検討しましょう。
リファラル採用における報酬を設定する際、法律上のリスクに注意が必要です。報酬が高額すぎると、「無許可の有料職業紹介事業」とみなされ、職業安定法に抵触する可能性があります。
有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
このリスクを避けるため、報酬は一般的な人材紹介会社に支払う成功報酬(対象者の理論年収の30〜40%が相場)と同等もしくは下回る額に設定することが重要です。また、紹介は会社業務の一環であると位置づけましょう。
報酬も賃金や給与として支払えば問題ありませんが、報酬額について就業規則に明示することが欠かせません。全社員に周知することも忘れないようにしましょう。
リファラル採用の費用総額は、紹介者への報酬、交通費・会食費、そして外部サービスの利用費によって決まります。具体的には、以下の計算式で費用を算出できます。
報酬額(10万円~30万円) + 交通費・会食費(5,000円程度) + 外部サービスの利用費
外部サービスを利用しない場合は、報酬額である10~30万円が費用総額にほぼ直結します。外部サービスを利用する場合、費用体系はサービスごとに大きく異なるため、事前にしっかり確認することが大切です。
では、他の採用手法と比べてリファラル採用の費用はどのように捉えられるのでしょうか?
厚生労働省の「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」によると、正社員1人あたりの平均採用コストは以下の通りです。
これらのデータから、リファラル採用は他の採用手法と比べても低コストであることがわかります。
参考:採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書|厚生労働省

次に、成果を上げるためのリファラル採用の手順をご紹介します。リファラル採用の成功には、事前の準備が欠かせません。特に、以下の6つのポイントを事前に整えておくことをおすすめします。すでにリファラル採用を実施されている方も、曖昧な部分があれば見直してみてください。
リファラル採用の目的を明確にするために、現状の採用課題を洗い出すことから始めます。これには、応募者の数や質、定着率の低さ、採用コストの増加など、現在の採用活動で直面している問題点を整理することが含まれます。課題を把握することで、リファラル採用がどう貢献できるかの方向性が見えてきます。
次に、課題に基づいてリファラル採用の具体的な目標を設定します。例えば、「特定部署の人材を確保する」「離職率を低減する」など、リファラル採用で達成したい成果を明確にします。
リファラル採用は社員の協力が不可欠な手法です。目的がはっきりしていないと、社員の積極的な協力を得ることが難しくなってしまいます。
次に、紹介ルールを整備します。紹介ルールとは、どのような人材を紹介対象とするかについて定めた指針です。
具体的には、募集ポジションごとに求める人物像や必須スキルを定めます。また、紹介前に被紹介者へ伝えておくべき内容(会社概要、社風、福利厚生など)があれば、それも整理しておくと良いでしょう。
紹介ルールを設けることで、紹介者が人材を紹介しやすくなるだけでなく、候補者の質も高まることが期待できます。ただし、ルールが複雑すぎると紹介者の負担が増えるため、多くの紹介を得ることは難しいでしょう。ルールは必須の内容に絞り、シンプルでわかりやすいものにすることをおすすめします。
次に、インセンティブを設定します。インセンティブの内容は、紹介者のモチベーションに大きく影響するため、具体的でわかりやすい基準を設けることが重要です。金銭的な報酬が一般的ですが、有給を付与したり福利厚生を充実させたりすることも選択肢の1つです。
また、紹介のハードルを下げるため、紹介が発生した時点で小さな報酬を設けるやり方もあります。この場合、紹介の質が落ちないように注意し、評価基準や対象となる条件を工夫する必要があります。
強制しなくても、自然に紹介が増えるようなインセンティブを設定できれば、リファラル採用の成功率は高まるでしょう。
続いて、運用制度を整備しましょう。具体的には、紹介者が取るべきアクションと、紹介後の流れを明確に定めます。紹介後の選考フローまで公開すれば、被紹介者も安心して面談に進むことができます。また、相談を受け付ける窓口を設けておくと、混乱を招くことなくスムーズに運用できます。
※面接は3~4回を想定し、原則オンラインで実施
※不明点は採用担当○○まで
次に、社内への告知方法を決めます。リファラル採用を社内に広めるには、説明会やメール配信を用いて全社に周知する必要があります。
社員が制度の詳細を理解できるように、紹介ルールや採用基準、紹介フローをわかりやすくまとめた資料を用意することもおすすめします。社内にポータルサイトがある場合、資料をそこに格納しておくと、社員が必要なときにすぐ確認できるので便利です。
紹介数を増やすには、社内告知が欠かせません。「すでに制度を運用しているが紹介が少ない」という場合は、再度の告知を検討すると良いでしょう。
一定期間が経過したら、振り返りミーティングを行いましょう。リファラル採用の開始からしばらく経過すると、「紹介数が少ない」「採用率が低い」などの課題が見えてくることがあります。これらの課題に応じて、改善策を検討しましょう。
また、紹介ルールやフローの中で修正が必要な箇所も運用を通じて見えてくるはずです。「○か月に一度振り返りを行う」といったルールを設けて、制度の改善を続けることで、より効果的なリファラル採用を実現できます。


最後に、リファラル採用についてよくある質問を紹介します。既存チャネルとのバランスやトラブル防止策についての質問を紹介していますので、リファラル採用の導入を検討中のご担当者様はぜひご参考にしてください。
リファラル採用を導入しても、他チャネル(求人広告、エージェント、SNSなど)を完全に置き換えるのではなく「最適な組み合わせ」を追求することが大切です。
たとえば各チャネルごとの応募数・面接通過率・採用決定率などを定期的にモニタリングし、部署ごとのニーズや応募者の属性に応じて優先度を調整すると良いでしょう。
採用管理システム(ATS)を活用すると、チャネル別の成果を可視化しやすくなり、投資対効果の比較や見直しをスムーズに行うことができます。
まずは「こういうスキル・経験・カルチャーフィットを求めている」という基準を明確化し、社員に丁寧に共有しておくことがポイントです。また、履歴書に加えて「実績や得意分野、具体的な職務経験」などを簡単にまとめてもらうフォーマットを用意すると、候補者の適性を見誤ることが減少するでしょう。
さらに、面接では通常の評価基準をそのまま適用し、客観的なチェックを行います。可能であれば複数名の面接官で評価し、紹介者の主観だけに偏らないよう工夫しましょう。
こうした仕組みと透明性を保つことで、候補者の質を確保できます。
不合格の決定後は、候補者と紹介者の双方に丁寧な対応を行うことが重要です。まず候補者へは、可能な範囲で選考結果の理由や今後の改善点をフィードバックし、応募への感謝を忘れないようにします。
紹介者には「気まずさを感じなくてもよい」旨をしっかり伝え、必要に応じて簡単な謝意や情報共有を行うと良いでしょう。
また、「リファラルはあくまで推薦であり、必ず採用されるわけではない」と明確に周知しておくことで、過度な期待やトラブルを回避できます。
リファラル採用を本格的に推進する場合、MyRefer、Refcomeなどの専用ツールを導入することで、求人の告知や候補者管理を一元化しやすくなります。中には、コンサルティングサービスを提供しているツールも存在します。
採用規模が大きい企業では、専用ツールを導入することで採用担当者の負担を軽減することが可能です。一方、採用人数が限られる場合や予算の都合がある場合は、社内ポータルサイトやメール、スプレッドシートなどの既存ツールを組み合わせて十分対応できるケースがあります。
まずは自社の採用目標やリソースを踏まえ、必要な機能とコストを比較検討するようにしましょう。
参考:
社員をアンバサダーに リファラル採用サービス|MyRefer
リファラル採用を成功させるパートナー|Refcome
リファラル採用は、社内の体制整備と社員の協力が不可欠な手法です。まず、社員が積極的に協力できる環境や仕組みを整えることが、リファラル採用成功への第一歩です。しっかりとした制度設計がなされ、社員のエンゲージメントが高い状態であれば、採用費用の削減や企業文化に適した人材の確保といった大きな効果が期待できます。
採用難が続く今、リファラル採用に課題を感じている方や、これから制度導入を検討している方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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