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「面接担当者によって評価基準が異なり、求める人材を確保できない」と悩んでいる企業は、決して少なくありません。この状況を改善するには、面接評価シートを作成することが大切です。面接における評価項目・評価基準を明確にすることで、一貫性のある評価を下せるようになります。
そこで今回は、面接評価シートに焦点を当て、その特徴やメリット・デメリット、作り方についてご紹介します。あわせて、面接評価シートを作成・運用する際のポイントや活用方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
面接評価シートとはその名のとおり、面接における評価項目・評価基準を記載した用紙のこと。応募者を客観的に評価する“ものさし”となるため、自社が求める人材を採用する上で欠かせないアイテムといえます。また、「応募者に何を聞くべきか」「答えられた内容をもとにどう評価すべきか」などを補助する役割もあるので、面接をスムーズに進行するためにも必須です。
もし面接評価シートを作成せずに面接を実施した場合、面接担当者によって応募者の評価に違いが出てしまい、企業にとって必要な人材かどうかの判断がしづらくなります。また応募者を見極める際に、面接時の雰囲気や応答内容に重きを置きすぎて評価が曖昧になる可能性もあり、これでは自社が求める人材を採用へとつなげるのは困難です。
こうした事態を防ぐためにも、あらかじめ面接評価シートを作成し、面接担当者間で一貫性のある評価・決断ができるようにする必要があるのです。

面接評価シートを活用すると、以下の3つのメリットを得られます。
面接評価シートは、いわば面接担当者間で評価の共通認識を持つためのフォーマットです。決まった評価項目・評価基準に則り応募者を見極めるため、企業として一貫性のある判断をしやすくなります。言い換えれば、主観・偏見による判断を防げるので、面接担当者によって評価にバラつきが出たり、採用においてミスマッチが起こったりするリスクを低減できます。
面接評価シートは、面接時に得た応募者の情報(言葉遣い・話を聞く姿勢 など)を記録する用紙でもあります。うまく活用すれば、履歴書・職務経歴書だけでは見えてこない応募者の人となりを可視化できるため、求めている人材かどうか判断しやすくなります。
また、面接評価シートに記録した情報はすぐに社内共有することが可能。たとえば、人材を募集している部署の既存社員に共有した場合、“一緒に働く”という点を踏まえた上で意見を得られるので、より現実的な判断を下しやすくなります。
面接評価シートが役立つのは、何も面接時だけではありません。たとえば、面接を終え応募者を選考する際にも役立てることができます。具体的には、面接評価シートのどのポイントを高く評価したか振り返ることで、その応募者が求める人材に近いか否かを判断しやすくなり、結果としてスムーズに候補を絞り込めます。
面接評価シートを活用することには、デメリットもあります。
詳しくは後述しますが、面接評価シートの作成手順は複数あり、時間をかけて評価項目を協議・整理する必要があります。また、面接評価シートが完成した後は使い方や注意点を社内に共有して、それぞれの面接担当者が確実に面接評価シートを使いこなせるようサポートをしなければなりません。これらの点から、面接評価シートの作成・運用には手間がかかるといえます。
ただし、この手間がのちに前述したメリットにつながるため、一概にデメリットと言い切ることはできません。
評価項目が明確だからこそ、点数をつけることが目的になってしまうケースもあります。具体的には「形式的に点数をつけてしまう」「チェック項目をすべて確認することに気を取られてしまう」といった可能性があります。この場合、面接に慣れている応募者は必然的に評価が高くなる恐れがあり、応募者が自社にとって必要な人材かどうかを適切に判断できなくなります。
このデメリットを回避するには、面接担当者が「自社で活躍できる応募者を見抜くこと」を強く意識する必要があるほか、評価項目・配点を細かくしすぎないことが大切です。面接評価シートに捉われすぎないような工夫を施すことで、デメリットを小さくできるでしょう。

では、面接評価シートはどのように作成すればよいのでしょうか。以下にて、基本的な作り方と評価項目の設定方法について解説します。
面接評価シートを作る際の流れは以下のとおりです。
まずは、自社が求める人材かどうかを見極める上で必要な評価項目を洗い出しましょう。具体的には、一般教養・専門知識をはじめとする「知識力」や、責任感・積極性などの「行動力」に関連した項目をピックアップします。ジャンル・個数を問わず、深く掘り下げるのがポイントです。
次に、自社が求める人物像を明確にしていきます。このとき、あらかじめ経営陣・部長陣のほか、人材を募集する部署に属す既存社員、人事・採用担当者などに、採用に関する意向を確認することが大切です。それぞれの意向を擦り合わせておかないと、求める人物像がバラバラなまま面接を実施してしまい、結果として求める人物像を採用につなげられない可能性があります。こうした事態を避けるためにも、「どのような人物を採用したいか」というイメージは固めておきましょう。
なお、同時に避けるべき人物像も明確にしておくと安心です。採用のミスマッチを防ぎやすくなるので、採用活動を成功へと導きやすくなります。
評価項目を洗い出し、求める人物像を明確にしたら、これらを掛け合わせて評価項目の優先度を決めます。そして、その優先度をもとにどのように応募者を評価するか、具体的な方法も定めましょう。
評価方法に関しては、「定量評価」と「定性評価」の両方を取り入れるのがベストです。
定量評価については、判断基準が曖昧だと評価にバラつきが出やすくなるため、あらかじめ中間基準を明確にする必要があります。たとえば、「『これまでの経験をどう活かしどのように貢献するか』という点を交えて志望動機を説明できた応募者は『3』とする」など、具体的な中間基準を設けることで一貫性のある評価を下しやすくなります。
面接担当者は、必ずしも場慣れしているとは限りません。はじめて面接担当を任された社員もいれば、久しぶりに面接担当者になった社員もいます。こうした方々が安心して面接を行えるよう、あらかじめ具体的な質問例を準備しておきましょう。質問例があると質疑応答が行き詰まるリスクを低減できるため、面接を滞りなく進められるというメリットも得られます。
面接評価シートが完成したら、実際に面接で使用しましょう。そして使用後、面接担当者に面接評価シートを使った感想をヒアリングします。このときのポイントは、面接担当者の記憶が鮮明なうちに感想を聞き出すことです。なるべく早くヒアリングすることで、より多くの情報を集められます。
もし面接担当者の感想を聞いて改善点が見つかった場合は、修正を加えましょう。繰り返し修正することで、より使用しやすく質の高い評価シートに仕上がります。
面接評価シートの評価項目は、求める人物像をもとに設定しても問題ありません。「どのような項目があれば、求める人物像かどうかを判断しやすくなるか」を考えた上で設定してみましょう。
具体的な例には、たとえば以下の5つが挙げられます。
| No. | 評価項目 | チェックポイント |
| 1 | 身だしなみ | ・TPOに合ったデザインのスーツを正しく着用できているか ・清潔感のあるヘアスタイルになっているか |
| 2 | 話し方・声量 | ・面接担当者の目を見て、聞き取りやすい声量で話せているか |
| 3 | これまでの体験 | ・成功体験の過程や結論をわかりやすくまとめられているか ・失敗した原因を明確にし、対策法を考えたのち行動に移せているか |
| 4 | 自己PR | ・自らのアピールポイントをわかりやすく伝えられているか |
| 5 | 人材要件 | ・自社が求める「経験値」「知識・スキル」を備えているか |
なお、設定した評価項目を全社共通にするか、あるいは一部の部署のみで活用するかについては、自由に選択できます。臨機応変に使い分けましょう。

面接評価シートを作成・運用する際は、以下のポイントを押さえることが大切です。
面接評価シートの評価項目は、多ければよいというわけではありません。むしろ多すぎると「面接時間内にすべての項目を確認できない」「面接時間を延長しなければならない」といった状況になり、面接担当者・応募者双方にとって負担となる可能性があります。その結果、応募者の本質を見抜く面接ができなくなることもあるでしょう。
そのため、評価項目の数は最小限にすることが大切です。本当に必要な評価項目だけを残し、効率よく応募者を見極めましょう。
もし評価項目を絞りきれない場合は、「1次面接では知識やスキル、志望動機を確認」「2次面接ではコミュニケーション能力や行動特性を確認」などと、ステップごとに分けるのがおすすめです。
面接評価シートの最下部に「特記事項」とフリースペースを設ける企業もありますが、このような具体的な指示がない記入欄は「何を書けばよいのかわからない」という混乱を招く可能性があります。また、それぞれの面接担当者によって書く内容が異なることで、有効活用できないケースも珍しくありません。場合によっては応募者を適切に見極められなくなる可能性もあるため、何を書けばよいかわからない記入欄は設けないようにしましょう。
新卒採用と中途採用では評価項目が変わるため、面接評価シートは分けて使うのがおすすめです。

新卒採用では「社会人経験がない学生」が対象になるため、ポテンシャルやパーソナリティを重要視する傾向があります。その一方で、中途採用では主に「社会人経験者」が対象となるため、能力や経験が重要な判断材料となります。
このようにそれぞれで評価項目が異なるにもかかわらず、同じ面接評価シートを使うと適切な判断ができなくなる可能性があります。そのため、新卒採用と中途採用、それぞれの面接評価シートを作成し運用することが大切です。
面接に参加するのは、面接担当者だけではありません。経営陣や現場の社員が面接に参加して、応募者を見極めるケースもあります。
このように、もし複数の社員で面接を行う場合は、応募者を同じ目線で評価できるよう事前に面接評価シートの確認を行うことが大切です。求める人物像や評価項目(内容・優先順位)の擦り合わせを行うことで、応募者の最終的な評価をより円滑に決められるようになります。
一度決めた求める人物像は、その後もずっと同じというわけではありません。企業の体制や社会情勢が変わることで、求める人物像も変わる場合があります。そのため、面接評価シートはこまめに見直すことが大切です。具体的には、評価項目の内容や優先順位を見直し、必要に応じて追加・削除する必要があります。そうすることで、常に「今」に合った面接評価シートを活用できます。
面接評価シートを有効活用するには、応募者が自社の求める人材かどうかを見極める際に使用するという意識を強く持つことが大切です。前述したとおり、面接評価シートは求める人物像をもとに評価項目・評価基準を設定したもの。つまり、その内容に合致する人物であれば、それは企業が求めている人材であるということです。応募者を見極める上で重要な“ものさし”となるので、その意識を強く持って活用するようにしましょう。
最後に、面接評価シートのテンプレートを掲載します。ぜひ参考にしてみてください。


面接評価シートは、自社が求める人材を採用する上で欠かせないアイテムです。今回ご紹介した作り方と評価項目の設定を参考に、自社ならではのシートを作成してみてください。そしてそれを実際に活用し、一貫性のある採用を実現させましょう。
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