ソフトバンク株式会社 採用担当:小野彰久様

STORY3

ES不要、プログラミングテストでエントリー。新卒からイノベーションの担い手を

新卒という二度とないタイミングで、どのような経験を積むのかーーいずれ転職するのが当たり前という認識になってきているからこそファーストキャリアの重要性はますます高まっています。特に競争が激しい優秀なITエンジニア候補者は、その傾向が顕著。

こうしたニーズにどうしたら応えられるのか。今回はその答えとなるプログラミングテスト型エントリーを導入したソフトバンク社のベストプラクティスインタビューです。

Company Profile

ソフトバンク株式会社
〒105-7529
東京都港区海岸一丁目7番1号
設 立 1986年12月9日
資本金 204,309百万円

「情報革命で人々を幸せに」を経営理念に、誰もが便利で、快適・安全に過ごせる理想の社会の実現を目指すデジタルテクノロジーカンパニー。総合デジタルプラットフォーマーとしてAIなどを活用し、すべてのモノ・情報・心をつなげる新規事業を開拓する。

Softbank Recruting site >

イノベーション人材獲得に
必要なもの

・IT・通信事業を牽引する御社の求める人材について教えてください。

小野:特に求めているのは、次世代の情報テクノロジーを活用してプロダクトを設計できる視座の高さと、プロジェクトリーダー/プロジェクトマネージャーとして開発~構築~運用のディレクションができるプログラミングの素養を兼ね備えたエンジニアです。

私たちがこれから取りかかるのは、これまで整備してきた5Gの通信ネットワークにAIテクノロジーを掛け合わせて様々な社会課題の解決策を考案していくこと。そのためには高度な仕事をリードする志と素養を持ち合わせた人材が不可欠なんです。

・ただでさえ不足しているエンジニア候補の中でも、未来の事業をリードできるエンジニア人材はどの企業からも引っ張りだこですよね。

小野:まさにその通りです。さらに、学生が企業を見極める目も鋭くなってきているという実感があります。

自分自身の能力を活かし、キャリアビジョンを実現したいと強く願っている方が多くいます。そのため、配属先を選ぶことのできる環境や、次のキャリアにもつながる挑戦ができる環境に非常に関心が高いですね。

そこで、私たちも、配属職種が入社後に確定する『JOB−MATCH選考』という職種別選考枠を設け、学生自身が主体的に職種を選べるようにしました。

しかし、応募をしていない人材には職種選択以外にも理由があるのではないかと考え、私たちの望む人材からエントリーを増やせないかと考えていました。

(2023/3/27時点:https://recruit.softbank.jp/graduate/recruit/flow/

・どういうことですか?

小野:現在は10年前と比較にならないほどの情報量の就職活動に対応し、自身とマッチングする企業かどうかを見極めていきながら、限られた時間の中でエントリーを完了させないといけないんです。

実際、当社のエンジニア職種が魅力的だと感じてくれたとしても、他にもエントリー期日が迫っている企業が複数あり、エントリーシートを書き上げるのに間に合わなくエントリー出来なかった学生の方は少なからずいると思うんです。

そこでエントリー手段を改善し、学生の方がよりエントリーし易い環境を構築したいと考えました。現在は少しでも当社に魅力を感じてくれたITエンジニア志望の学生に向け、エントリーシートの代わりにプログラミングテストでエントリーできる仕組みも併せて活用しています。

「お互いの見極め」を助ける
プログラミングテスト型エントリー

・プログラミングテスト型エントリーとはどのようなものですか?

小野:エントリーシートの代わりに、プログラミングテスト『Track Test』を受けていただくだけで選考への参加をスタートできるというものです。申し込みからテスト受験までオンラインで手早く進める事ができ、テスト自体も早い方だと1時間以内に完了します。

当社では入社後にITエンジニアとして必要な力を養う研修プログラムを用意していますから、入社前に専門的なスキルは必須ではありません。そのため、問題構成もプログラミングの基礎問題と、学習意欲と現在の力量を測るチャレンジ問題の二段階に設定して参加の裾野を広げています。

・短時間でエントリーが可能で、スキルチェックも済ませられるのですね。

小野:はい。エントリーシートや面接のみでは主観的にしか判断できなかった「エンジニアとしての素養やスキル」を客観的に測定でき、多数の参加者がいても採用活動の負担にならないメリットは非常に大きいです。

学生の方にとっても「入社後のスキルミスマッチは起きにくい」と安心できるのはとても良いことだと思っています。学生の方からは会社のカルチャーとして「エンジニアスキルを適切に評価してくれる姿勢」を評価いただいたこともありました。

・スキルミスマッチが起きにくいとのことですが、プログラミングテストの問題選定は現場のエンジニア担当者が行うのですか?

小野:人事担当者が候補問題の選定を行い、候補問題を社内のエンジニアにテスト受験してもらい、そちらの受験結果を以って最終的な問題選定を完了させます。

さらに『Track Test』ではさまざまな企業で実施された回答データが蓄積されており、各問題ごとの平均点や標準偏差、使用言語による正答率の差などが一目でわかるようになっています。これにより問題選定が適切であるかを客観的に判断することができますし、社内の意思決定がしやすいのも非常に助かっています。

それに採用管理システム『sonar ATS』とのシームレスな連携が実現しているので、面接を担当するエンジニアがアイスブレイクでプログラムテストの話題に触れて場の緊張をほぐすような使い方もできています。

約30%がプログラミングテストで
エントリー。
優秀層への新たな選択肢

・エンジニア職希望者の中で、どれくらいの方がプログラミングテストを受験されているのでしょうか?

小野:23新卒では応募者のプログラムテスト選択率が約30%にのぼりました。利用者は毎年増加中で、特に情報系学部出身の方にはその人気が高いですね。

質の面でも成果が見られています。内定者が一定数出ているだけでなく「面接で高評価を受けた学生は『Track Test』受験者の方が割合が多い」という傾向も見られているんです。当社の事業に興味のある優秀な方々へアプローチできているという確かな手ごたえを感じています。

・プログラミングテスト型エントリーで、選考の選択肢が増えたんですね。

小野:そうですね。全員にテストを受けて欲しいというわけではなく、ご自身に合った選考スタイルを選べることに意味があると思っています。本当に重要なのは学生と企業が1対1で向き合って、どちらもが満足する採用となることです。

「エントリーシートでこそ、研究や活動の成果を伝えられる」という方は、エントリーシートに思いを込めてもらいたいですし、入社後にキャリアビジョンを定めたい方は、職種別選考を選ぶ必要はありません。自身の強みを活かした選考スタイルを選び、選考中に実力を発揮してほしいと思います。

候補者の方に新たな選択肢を用意することができたという点で、プログラミングテスト型エントリーを導入して非常に良かったと感じています。

入社後の挑戦を後押しする
ソフトバンクの環境

・今後、採用活動において、企業のあるべき姿はどのようになっていくと思われますか?

小野:「採用して終わり」ではなく、採用と育成が一気通貫になっていて、個人のキャリアを応援できる企業になる必要があると思います。もちろん、学生と企業が双方の適性を見極めてファーストキャリアを決めることができる選考の門戸を整備することがまず大切で、これが今回の選考の変革にあたる部分です。

ですが、入社後のファーストキャリアはあくまで入り口。入社して会社の事業や社員に実際に触れていくことで、キャリアのイメージややりたいことはどんどん広がっていきます。そうした社員一人ひとりが描く自由なキャリアを尊重し、柔軟に対応できる人事制度を設計して個々の思いを実現できるようにすることも重要でしょう。

・『JOB-MATCH選考』で入社したとしてもキャリアプランは変わってもいいのですか?

小野:もちろんです。当社の場合、別の職種に魅力を感じたなら職種変更の希望を出す事も可能ですし、他にも柔軟に希望を叶える制度と文化があります。

ソフトバンクには社員一人一人のキャリアを尊重してくれる社風があり、私自身も新卒採用という本務に加え、キャリア採用部や障がい採用にも携わらせてもらっています。人によってはグループ会社でのキャリアを希望し実現している人もいますよ。さらに社内スタートアップ・ベンチャーを支える制度もありますから、志があれば社内起業をして、本務を行いながら社内起業先でも中心的な役割を兼ねることだってできるんです。

私たちの願いは社員一人ひとりが主役となるキャリアを築いて、大きなイノベーションの担い手になってほしいということです。だからこそ、その土台となる柔軟な採用・人事制度をこれからも整えていきたいですね。

(取材・執筆:北原 泰幸/企画・編集:井澤梓・榮田 佳織/
撮影:曽川拓哉)

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