お役立ち記事

専門家コラム

短期サマーインターン成功企業に聞く!プログラムの作り方と学生から支持される理由【採用賢者に聞く 第22回】

    • 専門家コラム

近年、多くの企業が導入している短期サマーインターン。実務体験を通して、仕事や企業、社会への理解を深める機会として学生にも人気です。しかし、実際に開催するとなると「どのようなプログラムを作ればいいのか?」と悩んでいる採用担当者は多いのではないでしょうか。そこで、短期サマーインターンを成功させる秘訣とはなにか? 目標をどうやって設定するべきか?など、アチーブメント株式会社人事部でリーダーを務める山森拓実氏に詳しく話を伺いました。

 

山森拓実 アチーブメント株式会社
人事部(採用育成 / 労務管理・人事制度運用 / 総務)リーダー

京都大学文学部倫理学科卒業。2015年に新卒でアチーブメント株式会社に入社。入社1年目から人事部 新卒採用担当として活動し、年間1万名の学生と最前線で関わる。その後、自身が企画を担当したサマーインターンが、キャリアパーク調べのインターンシップ人気ランキングにて3年連続1位という結果を残した。2020年~2021年の約2年間は、社長室 商品開発チームにて自社の教育プログラムの開発にも取り組む。現在は人事部にて採用、育成、労務、人事制度、総務を担当。Twitterフォロワー数は28,000名を超え、Twitter経由での内定出しも実現。複数メディアに取り上げられる。

無名企業だからこそ導入されたインターンシップ

まずは、短期インターンシップを導入された経緯について教えてください。

弊社は1987年に設立した会社で、現在となっては全社員の約65%を新卒が占めている新卒中心のカラーを持っています。しかし、新卒採用を始めたのは2005年のことで、それまでは中途採用の社員が数十名しか在籍していない、いわゆるベンチャー企業の一つでした。

そんな会社が新卒採用を始めるとなると、様々な問題がありました。ひとつは新卒採用のノウハウが全くないことです。新卒の社員がいないため「自社が求める人物像」についての具体的なイメージが持ちにくく、どのように自社の魅力をアピールすれば良いのかも全くわかりませんでした。大手企業であれば学生サイドからアプローチしてくれるのでしょうが、ベンチャー企業で待っているだけでは人は集まりません。そこで当時の採用担当が導入したのが、現在のインターンシップの原型です。その後少しずつ改良が加えられ、2015年からは私も新卒採用チームに加わり、「全ての採用により多くの社員が関わること」をモットーに、現在のような短期インターンシップの形へと変化してきました。

「優秀な人材」を集めるカギは、参加者の口コミ

短期インターンシップの導入にあたって、目標に設定したことはなんですか?

目標は2つありました。
1つめは、「ぜひ採用したい」と思うような優秀な人材と出会うこと。そもそもインターシップを志願し、参加してくれる学生たちは意欲が高く、また情報への感度も高いことがほとんどです。ですから、まずはインターンシップを通して、自社とマッチする優秀な人材と出会うことを目標にしました。

2つめは、より多くの学生に自社のことを知ってもらうこと。インターンシップのプログラムを通して自社のファンになってもらえれば、参加した学生から次の学生へと口コミが自然に広がっていくもの。そうすれば、本選考の時期により多くの学生たちを集めることができると考えました。良い人材との出会いは、どこまで行っても偶発的な出来事ですから、まずは多くの人に出会うことが大切です。求人媒体への掲載やダイレクトリクルーティングサービスの活用、合同説明会出展も、多くの学生に自社を知ってもらうために有効な手段です。

しかし、それらを通して学生に知ってもらうよりも、信頼している友人学生からの口コミ、紹介の方が、圧倒的に自社を認知してもらいやすいのです。ですから「思わず人にすすめたくなる会社」として、学生たちの間で話題に上がることこそ、短期インターンシップ最大の目標といえるかもしれません。

それらの目標が達成できるようになるまでには、どのくらいの時間がかかりましたか?

初年度から目標を全て達成できたかというと、当然、そんなことはありません。しかし、初年度より2年目、3年目と徐々に達成に近づいていったと思います。また現在も満足できる成果が出る場合もあれば、そうでない場合もあります。ただ、学生たちの話題に上がるためには良い流れを作るしかありませんし、そのために時間がかかるのは必然ですので焦りはありませんでした。「短期インターンシップの効果ができてきたな」と手応えを感じたのは、私が携わるようになってから3年目くらいからだと思います。

参加者の満足度を上げられるような、インターンシップに必要なものとはなんでしょうか?

とにかく、徹底的にプログラムを「学生視点のもの」に創り上げることが大切だと思います。例えば、弊社のインターンシッププログラムには、会社説明の時間を設けていません。なぜなら会社に関する情報のほとんどは、資料やHPで得ることができる情報だからです。逆に大切にしているのは、「学生の皆さんに、実際に体験してもらう」ということ。さまざまなワークを通して仕事や人生に関する考えをアップデートし、一緒に働くことになる人たちに触れあってもらう。それらが他の企業が開催するインターンシップと比べ、貴重な経験となれば、参加者の満足度も自ずと上がっていくように思います。

長期のインターンシップの場合は多少、時間に余裕がありますが、短期インターンシップの場合は学生たちにとっても、私たち企業側にとっても限られた時間しかありません。無駄な時間は徹底的に省き、学生にとって有意義なプログラムになるよう、多くの人の意見を取り入れては改善をし、アップデートしていくことが大切です。参加してくれる学生の感想はもちろんのこと、インターンシップに関わる社員らにアンケートを取ることもありますし、競合他社が実施している「面白い」と思える企画について調べて研究することも。あらゆるところから情報を集めて改善に取り組んでいます。

採用担当者の情報収集にはどのような手段が有効だと感じていますか?

個人的にはSNSを活用しています。SNSにはリアルな学生の声が多く溢れていますから、学生たちの動向や価値観、人気のある「場所・モノ・コト」などをリサーチする手段として有効です。学生たちも電話やメールで問い合わせるよりもコンタクトが取りやすいので、気軽にメッセージを送ってくれます。最近ではメッセージのやり取りをきっかけに内定を出すこともあります。

また、他社の採用担当の方の声も広く集めることができますので、採用担当者ならではの情報交換や交流にも役立てています。コロナ禍で人と会うことが難しい状況であっても、SNSなら場所の隔たりなく、どこにいても気軽に交流ができ、アイディアや疑問を共有できるので、インターンシッププログラムをブラッシュアップするきっかけを得ることが多いですね。また、学生に人気の高い企業のSNS運用を見てヒントを得ることもありますし、使い方によってはとても有益だと思います。

コロナ禍でのインターンシップ開催において工夫していることはなんですか?

コロナ禍ではインターンシップもオンラインでの開催になりますので、学生を飽きさせないことが重要になると思います。例えば、言葉の選び方、使用するスライド、動画全てにおいて工夫が必要ということです。対面時のようにお互いを直接感じられる空気感がない中で、参加者を巻き込むためにできることは徹底して実行するようにしています。

例えば、自社の場合「来てほしい学生」に対してシンクロするキーワードやビジュアルを徹底的に探しています。思わずグッと来る言葉やシチュエーションを通して、直接ではなくても熱量を体感してもらえたら、まずは成功と言えるでしょう。そして、次に参加者にはプログラムを通して、より多くの社員たちと接してもらいます。各ワークにはメンターとして先輩社員たちが参加するのですが、プログラムごとにチームを変えるようにしています。メンターの姿は未来の自分の姿であり、一緒に働くことになる仲間でもありますので、そこからより多くのものを感じてもらうための一つの工夫でもあります。

また、オンラインでのディスカッションはクロストークが難しいため、1人ずつ順番に発言していくことがほとんどです。なるべく、誰かの発言を削ることがないよう、プログラムの時間配分も最初から多めに用意するようにしています。他にも、シェアタイムで発言をするときは、最初に「手を挙げる」、発言を終えるときは「『以上です』と言う」ようにし、最後はみんなで「拍手をする」という動作を明確にしておくと、シェアが活発になりやすいです。

会社が求める人物像にシンクロするプログラムにこだわる

「欲しい人物像」に対してのアプローチの方法をもう少し詳しく聞かせてください。

例えば、自社が求めている人物像をわかりやすく言うと「挑戦できる人」「目標を定め、それに向かって努力できる人」「リーダーシップを発揮して周囲を巻き込んでいける人」です。ここからさらに落とし込んでいくと、自社の求める人物像は部活動や学生団体、アルバイト先でリーダーとして活躍してきた人と非常に親和性が高いという考えに行きつきました。目標を立て、自分を律し、仲間と励まし合いながら戦ってきた経験は、まさに私たちが求める姿と重なるからです。

では、次に、そんな人たちに興味を持ってもらうためにはどうすればいいか?と考えを深めていきます。その結果出てきたのが、「THE FIRST」や「DRIVE」といったキーワードです。これらの言葉を使うことで、頂点を目指す力強さ、自分で切り開いていく意思の表現として、来てほしい学生に興味を持ってもらうことができるのではないかと考えたのです。また、ビジュアルに優勝カップや仲間と喜びと分かち合うようなシーンを使用するなど、視覚的にもリーダー経験で得られる達成感とリンクするようなものを取り入れるよう工夫しました。

このように、求める人物像をリアルに落とし込んでいき、そこから想像していくことでより良いアプローチができるのではないかと思います。

【2024年度サマーインターンシップ DRIVE コンセプトビジュアル】

<2021年度サマーインターンシップ DRIVE告知映像>

これから初めて短期インターンシップを開催する企業に対して、アドバイスをお願いします。


まずは、とにかくインターンシップを開催してみることです。初回から上手くいかなくても焦る必要はなく、「参加してくれた学生の皆さんとの間に人脈を作れた」と前向きに捉えることができたらステップ1としてはO Kです。最初の3年くらいは準備期間と捉え、彼らのリアルな声を聞き、どんどん改良し、参加者の満足度を上げていくことに専念してください。そうすれば必ず良い流れができていくと思います。
そしてできれば会社全体を巻き込むようにしてください。採用の担当者が人事部であったとしても、より多くの人が参加することで「会社ならでは」の魅力が浮き彫りになり、学生に対して伝わりやすくなります。参加者は「入社後の自分」をイメージしやすくなりますし、会社側としても「一緒に働く」イメージを持つことができますので、採用後のミスマッチも減らすことができます。
インターンシップを始める前は不安がつきものだとは思いますが、参加者との交流で見えてくる自社の強みや課題があると思います。「求める人物像」にフォーカスをし、ぜひ「自社ならでは」のインターンシップを生み出してほしいと思います。

また、Thinkings株式会社では採用業務を大幅に効率化する「採用管理システムsonar ATS」を提供しています。「事務作業に追われ、候補者と向き合う時間がない...」とお困りの方は、ぜひ一度資料をご覧ください。

▼導入企業様からはこんなお声をいただいています▼
「採用担当の残業時間が前年より83%減少した」
「まるで採用担当がもう1人増えたみたい」
「最終面接への移行率が60%→90%に増加した」
⇒採用管理システムsonar ATSの資料はこちらから

SHARE
この記事の著者
山森 拓実
山森 拓実

京都大学文学部倫理学科卒業。2015年に新卒でアチーブメント株式会社に入社。入社1年目から人事部 新卒採用担当として活動し、年間1万名の学生と最前線で関わる。その後、自身が企画を担当したサマーインターンが、キャリアパーク調べのインターンシップ人気ランキングにて3年連続1位という結果を残した。2020年~2021年の約2年間は、社長室 商品開発チームにて自社の教育プログラムの開発にも取り組む。現在は人事部にて採用、育成、労務、人事制度、総務を担当。Twitterフォロワー数は28,000名を超え、Twitter経由での内定出しも実現。複数メディアに取り上げられる。

sonar ATSをさらに詳しく知りたい方

導入にあたって気になるポイントを解説します