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採用課題別に解説!取り入れるべき採用手法とポイントとは【採用賢者に聞く 第16回】

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採用手法の多様化は、企業が抱える課題の多様化と密接にリンクしています。社会全体が大きく変化する中、企業は今まで採用してきたタイプとは異なる人材との出会いを求めるようになりました。前編では採用ナビから変化を遂げた現在の採用手法について解説しましたが、後編は、企業が抱える課題別おすすめの採用手法を解説します。企業の採用力強化をサポートするジャンプ株式会社の増渕知行氏に、引き続きお話を伺いました。

前編:採用ナビはもう古い?採用担当者が知っておきたい採用手法と取り入れ方【採用賢者に聞く 第15回】

課題1. 知名度がなく、母集団が集まらない

――このようなケースにおいて、どういった採用手法が適切なのでしょうか。

採用予定人数が多い場合と少ない場合で最適解は変わります。少人数の場合であれば、「新卒紹介」がもっともコストパフォーマンスがいいでしょう。「新卒紹介」を得意にしているベンダーと契約して、求める人材像のイメージを伝えるとベンダー側が適した人材を紹介してくれるので、スムーズな採用を可能にします。料金も成果報酬がほとんどなので、総合的に見て最適な手法なのではないでしょうか。

――採用予定人数が多い場合はどうでしょうか。

知名度がなく母集団が集まりにくい企業で採用予定人数が多い場合は、非常に悩ましいですね。これだけをやったらうまくいくというシンプルな解はありません。やれることを全部やる。採用を成功させるためには結局、手間をかけるか、お金を出すか、知恵を出すかのいずれかしかありません。採用ナビをはじめ、学生とコンタクトできるチャネルを多様に駆使して、手間もお金も知恵も出しましょう。チャネルを増やすことで工数が増えてしまうので、リソースも必要となります。採用活動の役割分担をしっかりと行い、自社のみならずアウトソーサーも活用して体制構築することがベストです。

――母集団形成に課題がある場合、どのような部分にポイントを置くべきでしょうか。

より多くの学生を集めたいと考えている場合、重要なのは受け皿となるコンテンツです。昔は説明会がそれに該当したのですが、2016卒採用からインターンシップが受け皿になっています。説明会と比べてインターンシップのほうが、知名度のない企業でも戦える余地があります。オンライン化によって、自社から遠いところに住んでいる学生もターゲットとできるようになりました。そのインターンの内容を吟味して、学生の興味を惹く企画にしましょう。コンテンツができればダイレクトリクルーティングやSNSなどの手段を使って告知をする、という流れがおすすめです。

―学生の興味を惹きつけるコンテンツとはどのようなものでしょうか。

学生がインターンに期待しているのは「企業理解」と「自己成長」です。自社がどのような企業なのかを整理して、学生にどのような価値を与えられるかを考える必要があります。インターンシップのプログラムの作り方には、「業界」「会社」「仕事」「スキル」「就活」の5つの型がありますから、そこから訴求する内容を決めていくのがいいと思います。さらに、学生がインターンシップに期待するのはフィードバックです。現場社員をインターンシップのプログラムに参加させて企業理解や志望度醸成を進めていくのが良いでしょう。

関連記事:「若き採用担当の悩み④」新卒採用における母集団形成【第4回 採用賢者に聞く】

課題2. 幹部候補の学生を効率的に採用したい

――このようなケースにおいて、どういった採用手法が適切なのでしょうか。

幹部候補の採用というのは企業にとって大きな課題です。そもそも、「この人材は、将来幹部になるだろう」と採用時点で正しく判断することは非常に困難です。今までに入社した人たちの中から、幹部になった人たちの傾向を分析し、相関性のあるファクトが見出せていれば確率は上がりますが、難易度は高いです。
前編でも述べたとおり、採用において重要なのは「出会う」よりも「つかむ」「口説く」というプロセスです。それは幹部候補の採用でも同じです。たとえば配属する事業部を未定のままにしておくのではなく、「あなたにはこの部署でこういう仕事をしてもらいたい」とオファーを明確にして、働くイメージを学生に喚起させることが重要です。また、「口説く」役割をだれが担うのかもとても重要になります。

――幹部候補に出会うためには、今までとは違うアプローチも必要になってきそうですが。

確かに従来と同じ方法では、出会うことは難しいかもしれません。「出会う」という部分で言えば、やはり学生との接点を増やすことが大切です。
たとえば、アウトバウンド型のマッチングイベントに出て企業側からアプローチする、といった手法も有効でしょう。また、リーダーになるような人材は普通の就活をしていないケースが多いことも知っておくべきだと思います。彼らはプライベートで人が集まる場に出かけたり、自分の趣味や嗜好を満たす行動をした結果、就職につながったという採用ルートを通っていることも多くあります。それは、逆に言えば採用活動以外の場面で出会う可能性があるということです。採用担当者や経営幹部が常にアンテナを立てて、「出会う」機会をプライベートでも探すことが重要になってきます。

――幹部候補を採用したい企業にとってのポイントはどのようなものでしょうか。

重要なのは、チャネル選定よりもコンテンツです。たとえば、選抜型のインターンシップはおすすめです。優秀な学生ほど、他にどんな学生が参加するかを気にしている傾向があるので、スクリーニングした学生だけで2~3日のインターンシップを開催します。そして、そのための説明会や選考会を行うことをさまざまなチャネルで告知するのが有効です。

課題3. 専門分野に特化した学生を採用したい

――このようなケースにおいて、どういった採用手法が適切なのでしょうか。

近年、専門分野に特化したベンダーやチャネルが多く出てきているので、どのような人材を求めているのかを明確にした上で選択することが有効です。理系学生の需要は非常に高まっているので、理系学生を採用したい場合はできることを全部やる、くらいの覚悟が必要です。

――専門分野に特化したチャネルにはどのようなものがあるのでしょう。

●「ジョーカツ」
地方学生に特化したチャネルで、今までアプローチできなかった地方学生と出会える可能性が高まります。
ジョーカツ:https://jo-katsu.com/

●「エンカレッジ」「Goodfind」「外資就活ドットコム」「ビズリーチ・キャンパス」
上位校学生の利用率が高いチャネルです。受け皿となるコンテンツを魅力的に企画できれば、優秀層との接点をつくりやすい手法です。
エンカレッジ:https://en-courage.com/
Goodfind:https://www.goodfind.jp/
外資就活ドットコム:https://gaishishukatsu.com/
ビズリーチ・キャンパス:https://br-campus.jp/

●「アスリートプランニング」 体育会系の学生に特化したチャネルです。体育会系の学生限定のサービスで、大手企業も利用しています。
アスリートプランニング:https://athlete-p.co.jp/

●「ラボベース」 理系の大学生や大学院生に特化したチャネルです。学生の研究内容や能力を確認することができ、スカウトを送ることができます。
ラボベース:https://labbase.jp/

他にもたくさんありますし、毎年新たなサービスが出てきますので、最新トレンドのキャッチアップが必要ですね。

――専門特化型の学生を集める際のポイントを教えてください。

専門特化型の採用では、ターゲットを絞ってダイレクトリクルーティングを利用するケースが多くなります。その場合、企業側の運用によって効果は変わるので、アプローチするターゲットごとにスカウトメールをカスタマイズしないと効果は上がりません。ベンダーに依頼する場合は、担当者としっかり会話をして自社のことを理解してもらう必要があります。

課題4. 特定の大学や研究室から一定数の採用をしたい

――このようなケースにおいて、どういった採用手法が適切なのでしょうか。

以前から変わらない手法は、内定者と一緒に挨拶に行くことです。アナログな方法ですが、学生にとって、研究室の先生や先輩・後輩というのは企業側が想像しているよりも大きな影響を与える存在なので、地道に毎年挨拶に行くということを忘れないようにしましょう。
即効性という意味では、ここでもダイレクトリクルーティングですね。大学・学部での検索が可能なので、「なぜその学校の学生と相性がよいと思うのか」を伝えて、カジュアル面談のアプローチをします。

企業課題を解決するための採用活動に必要な意識とは

――企業課題も多様化していますが、どのような意識で採用活動を行えば良いのでしょうか。

企業にとって従来の採用活動はハイパフォーマーモデルだったため、すでに活躍している社員のコンピテンシーを分析して抽出することが重要でした。しかし今は、現場からのボトムアップよりも、未来の事業から逆算した仮説に基づく人材設計が求められています。
自社がどのように変化していきたいかということを経営者と会話すると、課題が抽出されるはずなので、その課題を解決できそうな人材を定義します。定義できたら、それに合わせたチャネル・手法・ベンダーを選択することが重要になります。

――HRテック企業も増えているので、採用手法の選択肢が増えている印象も受けますね。

そうですね。マトリクスで考えてみるとわかりやすいと思います。ベンダーを「デジタル」と「アナログ」の縦軸で切り、横軸を「全体最適」と「部分最適」で切り分けます。

この中で今増えているのが「デジタル×部分最適」の領域です。その時流を受けて「こういう学生にアプローチできます」「こういう課題を解決できます」と謳うHRテック企業は非常に増えていますし、「アナログ×部分最適」の領域の中でも、小さな紹介会社やマッチングイベントなどが増加傾向にあります。

企業の採用担当者にとって、これから大事になってくるのは、全体最適をどのように設計して、部分最適なツールやチャネルをいかに使っていくか、ということです。企業の将来像を明確にし、必要な人材を定義する。そして、その人材と「出会う」チャネルを選択し、「掴む」「口説く」ためのプロセスを構築する。そういった考えが、採用担当者に求められています。

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この記事の著者
増渕 知行
増渕 知行

ジャンプ株式会社
代表取締役

リクルート代理店勤務の12年間で、のべ400社以上の採用活動を支援。1000人を超える代理店営業の中で、MVPを5度受賞。多数のベストプラクティスを生み出す。2008年、ジャンプ株式会社を設立。「働きたくなる会社を日本中に」をミッションに、採用力強化に特化した事業を展開。20年以上の採用コンサル経験をもとに「採用戦略のフレームワーク」を日本で初めて体系化。採用戦略オープン講座「STRUCT ACADEMY」を立ち上げ、主宰として指導にあたる。リクルート代理店勤務の12年間で、のべ400社以上の採用活動を支援。1000人を超える代理店営業の中で、MVPを5度受賞。多数のベストプラクティスを生み出す。2008年、ジャンプ株式会社を設立。「働きたくなる会社を日本中に」をミッションに、採用力強化に特化した事業を展開。20年以上の採用コンサル経験をもとに「採用戦略のフレームワーク」を日本で初めて体系化。採用戦略オープン講座「STRUCT ACADEMY」を立ち上げ、主宰として指導にあたる。https://jumpers.jp/

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